軌道分類解説読本
宇宙の形を決める
エネルギーの「貯金」と「勢い」
天体はなぜ、その軌道を描くのか。
それは、一匹の猫が「最も居心地の良い座布団」を探す物語として語ることができます。
1. プロローグ:猫のチャーと座布団
「猫のチャーは坊さんの座布団に鎮座する」
静かなお寺の本堂。猫のチャーは、一番ふかふかした坊さんの座布団を見つけ、そこに丸くなって落ち着きます。この「座布団」こそが天体にとっての基準軌道(円軌道)です。
天体が描く美しいカーブは、重力という「引き込み」と、自らの「勢い」が完璧に調和した結果です。この均衡が崩れたとき、宇宙の「形」はどう変わるのでしょうか?
2. エネルギーの二重奏
静的エネルギー ($S_R$)
「宇宙の握力」 / 貯金
中心天体が空間を介して天体を留めようとする力。軌道の「サイズ(基準半径 $a$)」の土台を決めます。
※お坊さんが「待て」をする力
動的エネルギー ($A_R$)
「現在の勢い」 / 運動
中心から離れよう、突き進もうとする天体の生命力。軌道の「形(離心率 $e$)」を歪ませます。
※猫が外へ遊びに行きたい衝動
3. 実験室:猫のそわそわシミュレーター
スライダーを動かして「離心率 ($e$)」を変えてみましょう。猫(白い点)が座布団(中央の黄色い点)に対してどのような軌道を描くか、エネルギーバーの変化と共に観察してください。
円軌道
完璧な調和。猫は座布団で丸くなっています。
エネルギーバランス (Endy Model)
バーが満タン(握力の2倍)になると脱出!
4. 軌道の形状とエネルギーの状態
円軌道 ($e=0$)
試す
状態: $A_R = S_R$ (過不足なし)
猫が座布団の真ん中で完璧に丸まっている状態。静的エネルギーと動的エネルギーが完全に釣り合っています。
楕円軌道 ($0 < e < 1$)
試す
状態: $S_R < A_R < 2S_R$
猫は少し落ち着きを失い、左右に揺れていますが、まだ座布団(重力圏)からは出られません。
放物線軌道 1 ($e=1$)
試す
状態: $A_R = 2S_R$ (脱出の閾値)
「衝突極限」。勢いが握力のちょうど2倍。猫が座布団の引力を振り切るチケットを手に入れた瞬間です。
放物線軌道 2 / 境界 ($e=2$)
試す状態: 近点距離 $r$ が基準半径 $a$ と等しくなる特別な双曲線。開いた軌道の中でも美しい対称性を持ちます。
双曲線軌道 Type 3 ($e > 2$)
試す
状態: $A_R > 2S_R$ (完全なる脱出)
「逃走軌道」。余剰の勢い(お土産)を持って、猫は無限の彼方へと走り去ります。
5. Endy球(影響圏)のダイナミズム
影響圏は生き物である
天体が他の重力圏(Endy球)に入るとき、その境界線は固定されていません。 猫が「どの角度」で飛び込んでくるかによって、影響圏の広さは変わります。
- 水平成分 ($A_{HR}$): 境界を「横切る」勢い → 影響圏のサイズ $R$ を決める。
- 垂直成分 ($A_{VR}$): 中心へ「落ち込む」勢い → 軌道の深さ $a$ を決める。
「猫が横から滑り込めば影響圏は広がり、真っ直ぐ突っ込めば縮む」