垂直と上下衝突って何かって話を先にしておきます。

(1)水平衝突…軌道進行方向の衝突
(2)垂直衝突…中心天体方向の衝突
(3)上下衝突…水平、垂直の面に対して垂直方向の衝突

実際の衝突は、この3つの方向に分解されます。
今までは水平衝突のみを扱ってきました。
まあ、ギリギリ、それだけでも説明できたのですが、
双曲線軌道になった時にそうもいかなくなりました。
それは、基準軌道上で振動が起きるからです。
水平諸島の場合は、軌道速度が影響しますが、
垂直・上下衝突の場合は、軌道速度の影響はありません。
基準軌道を中心に、単振動をするだけになります。

イメージとしては、中心天体から、
基準軌道までつり下げられたバネがあって、
そこに周回天体がブル下がっている状態です。
何もなければ、振動しませんが、
小惑星が衝突したりすると、振動を始めます。

バネ定数(k)

バネ定数(k)は、基準軌道半径(a)とその位置の静的エネルギー(Sa)によって、

となります。

垂直方向の衝突

基準軌道(a)の静的エネルギー(Sa)と、振幅(f)を使うと、
垂直方向の衝突エネルギー(Iv)は、、

となります。

また、衝突エネルギー(Iv)が吉の場合は、振幅(f)は、

と求めることができます。

公転周期(T0)は、

振動周期(Tk)は、

となるので、公転周期と振動周期はは同じになります。(同じ位置に戻ってきます)

上下方向の衝突

基準軌道(a)の静的エネルギー(Sa)と、振幅(f)を使うと、
上下方向の衝突エネルギー(Iu)は、

となります。
ここで、注意しなければならないのは、真上に上がると、
上がった分だけ、中心天体から離れるということです。
上がった角度(θ)は、衝突位置の基準軌道(a)と振幅(f)を使って、

となります。
このθの傾斜の基準軌道(a1)は。

になります。
傾斜面での、公転周期(T1)は、

となります。

振動周期(Tk1)は、衝突する前の面の基準軌道(a)になるので、
バネ定数(k)は変化しないので、

となります。


振動周期(Tk1)の方が、公転周期(T1)より小さければ、
見た目上昇交点(中心天体と周回天体の軌道面を下から上に登るときの交点)が、
後退するように見えます。(=公転方向と逆に進む)


逆に、振動周期(Tk1)の方が、公転周期(T1)より大きければ、
見た目上昇交点が、
前進するように見えます。(=公転方向と逆に進む)

月の白道について

白道は、18.61年で、公転方向とは逆の方向で回転しています。
この原因ってなんだろうか!
(参照:国立天文台月の楕円はぐるぐる回る (昇交点方向))

月の公転周期は27..32日で1周します。
ということは、18.61年で 18.61(年) x 365(日) / 27.32(日) で
約248.6周することになります。

一周では、360° / 248.5 = 1.45°
後退します。
その時間は約2.63時間です。

上下方向の衝突があると、昇交点が逆方向に動くが、
実際計算すると、誤差が生じました。
その原因は、2度の衝突により、
白道面が2回移動したと予想しました。

第1衝突

水平衝突で算出した、第1衝突は、黄道面の基準軌道半径(a000)356,400kmのところで発生し、
基準軌道半径(a00)が360,600kmに移って、黄道から-1.490度は白道面が傾斜したとします。

第1衝突後の白道面

第1白道面と黄道面に対する白道面がマイナスの傾斜(-1.490度)によって、
基準軌道半径が大きくなるので、(衝突した面が基準になる)
上下の振動周期は、黄道面より第一白道面の方が遅くなり、
黄道面ベースでは、昇交点が先に進んでいるようにしているように見かけ上見えます。
しかし、実際の第1白道面ベースでは、公転周期と上下振動周期は同じです。

第2衝突


次に、第二の衝突が、第一白道面(a0)360,722kmで発生して、
第1白道面から+6.635度、第2白道面が傾斜したとします。

第2衝突後の白道面

第1白道面(黄道面に対して-1.490度傾斜)の基準軌道は、
衝突により、(a0=360,722km)から(a1=383,375km)に移動します。
基準軌道(a1)の公転周期(T1)は652.3hになります。
第一白道面での振動周期は、公転周期と等しいので、Tk1=652.3hになります。

第2白道面(黄道面に対して+5.145度傾斜)の基準軌道は、
衝突により、(a2=385,960km)に移動します。
基準軌道(a2)の公転周期(T2)は654.5hになります。

黄道面の基準軌道(a3) は、a3=a2 x cos(5.145度)=384,405kmになり、
黄道面の公転周期(T3)は654.9hになります。

昇交点の移動は、黄道面の公転周期と第1白道面の振動周期の誤差によって発生するので、
誤差は、T3ーTk1 = -2.6h になり、第一白道面の振動周期の方が、
2.6時間早いので、公転方向とは、逆に昇交点が移動します。

白道は、18.61年で、公転方向とは逆の方向で回転しています。
この原因ってなんだろうか!
(参照:国立天文台月の楕円はぐるぐる回る (昇交点方向))

月の公転周期は27..32日で1周します。
ということは、18.61年で 18.61(年) x 365(日) / 27.32(日) で
約248.6周することになります。

一周では、360° / 248.5 = 1.45°
後退します。
その昇交点の後退時間は約2.63時間です。

計算結果と一致します。

まとめ

月は、2回の衝突があ利ました。
この事は、水平衝突で説明しました。

第1衝突により、白道面が−1.490度傾いた、第1白道になりました。
第2衝突により、白道面が第一白道面に対して、+6.635度傾きました。(黄道面に対して、+5.145度)
第2衝突により、第一白道面に対して上下振動が振動周期は、652.3時間になりました。
第2衝突による、黄道面の公転周期は 654.9時間になります。

すなわち、この周期の誤差2.6時間が、昇交点の移動の原因になります。

ということです。

あくまでも、Endy予想ですが。