親子の定義

宇宙空間に2物体が存在した場合、親子はアインシュタインの有名な質量とエネルギー変換式(Em=mc2)の大小で親子を判断します。
質量エネルギーが大きい方が親となり中心天体、
質量エネルギーが小さい方が子となり周回天体になります。

  • Pm:親質量エネルギー[je=kg・(km/h)2]
  • Cm:子質量エネルギー[je]

親判定

天体が2つの場合は、質量エネルギーの大きさで、親子を判断できますが、
3つ以上の場合はどうなるでしょうか。
そもそも、親になる条件というのは、どういうことかというのを考察してみます。
そこで、「静的エネルギー(S)」と「動的エネルギー(A)」を比較して、
どのように軌道が変わるでしょうか。

静的エネルギーと動的エネルギーの比較による軌道
軌道


周回天体が保持している「動的エネルギー(A)」が、
基準軌道(a)の静的エネルギー(Sa)の2倍未満なら、
現在の中心天体が親になります。

エネルギー(Sa)の2倍以上の場合、現中心天体の親(上位親)が親になる。

現在親A<2Sa…現在の中心天体が親になります。
上位親A≧2Sa…上位の中心天体が親になります。(例えば、月の親は地球ですが、
この条件を満たすと、太陽が親になる)

動的エネルギーが増加すると基準軌道半径が大きくなります。
動的エネルギーAと静的エネルギーSaがA=2Saの関係になった時、
基準軌道半径が無限大になり、
周回天体の親が現在の親から上位の親に移動するという原理です。
ここで注意しなければならないのが、動的エネルギーは、
基準軌道の接線方向のエネルギーということです。
双曲線軌道のように、進行方向が基準軌道に対して角度がある場合、
中心天体方向の動的エネルギーが発生します、
その場合、動的エネルギーの総和は静的エネルギーの2倍を超えることもあります。(詳細は双曲線軌道

親判定 説明

例えば、中心天体が地球を周回しているロケットが、
基準軌道上の静的エネルギーの2倍以上の動的エネルギーを噴射すると、
中心天体は地球から上位の親の太陽に変わり、太陽を周回する。

基準軌道aで周回しているロケットを想定すると、静的エネルギーはSaになります。
円軌道ならば、動的エネルギーAは静的エネルギーと同じになります。
そこで、燃料噴射で衝突エネルギー(I)(衝突はしていないが、
衝突と同じ効果があるのでこの名称を使用します)を噴射したとします。
ここで、ロケットの質量m、光速c、質量エネルギーEm=mc2
宇宙エネルギー定数U、中心天体の質量Mとすると、ac=U(M+m)となるので、
万有引力定数μは、(わかりやすくするために、一般に使われている「万有引力定数」という名称を使います)

となります。
万有引力定数μを使って、衝突後の基準軌道半径bを表すと

になります。
この式から、衝突エネルギー(Ia)がSaより小さい場合は、
移動先の基準軌道は、有限なので「楕円軌道」になります。
しかし、Ia=Sa になると、移動先基準軌道半径がb=∞になります。
これは楕円軌道の限界を超えるので、現在の中心天体から離れていきます。
(今までの天文学では、放物線軌道の状態)
現在の中心天体から離れると、中心天体が上位の中心天体になります。
例えば、地球を周回していたロケットが、静的エネルギー(Sa)以上のエネルギーを噴射すると、
太陽の軌道に移るということです。その時のロケットの動的エネルギーはA’≧2Saになります。