(写真はWikiより借用)

それは、2015年夏、エアコンの嫌いな私が、ココイチでもらった団扇とビックカメラで買った2980円の扇風機で涼みながらビールを飲んでいた。前国立天文台所長の古在由秀先生の「月」の初版本を中古でアマゾンで購入して、読んでいた時だった。初版本は、1968年に出て、そのときに佐藤さんという方が購入なさったようだ。なぜわかったかというと、裏表紙に、1968年10月31日佐藤という印鑑が押してあったからだ。

古在先生に聞きたいことが山ほどあったのに、2018年にお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。

古在由秀著「月」より引用(p128

地球を中心と考えた時の月の軌道も、ほぼ楕円であるが、太陽の月への引力と月と地球の重心の差が、月の軌道を乱している。この軌道を乱す力は、前に述べた潮汐力と似たもので会えることは、お分りいただけると思うが、それが地球の200分の1の強さになり、月の軌道を新月や満月の頃は、楕円軌道より300Km地球に近づけ、半月の頃は同じくらい地球から遠ざけている。この他、月には、他の惑星の力も働いているし(摂動)、地球が球でないための影響も現れ、月の軌道は実に複雑に変化しているのである。

古在先生の本を読んでいると、どうやら、月のエキセントリックな軌道が、摂動や地球の扁平が原因だと思われたようだ。

古在由秀著「月」より引用「ドローネイの月運動論」の<3000ポンドの賞金>(P131,132)

太陽、言い換えれば、地球の運動理論は、比較的簡単に作られたのであろうが、月の方は、なかなかうまくいかなかった。18世紀には、イギリス政府、パリ学士院が、懸賞金を懸けて、月の運動理論を奨励。(中略)1753年オイラーが月運動論によって3000ポンドを受け取った。

(うらやましー)

19世紀になって、月のかなり正確な位置を予報できる理論を導き出したのは、デンマークの天文学者ハンセンで、長い間、天体歴計算の基礎になっていた。

そのあと、幻の名理論「ドローネイの理論」が生まれたと記されています。現在、月の予報は「ブラウンの理論」を元にしているとのことです。

ああ、ブラウンの理論をみてみたいぞ。いろいろ調べてもわからないので、誰か知っている方、教えてください。

古在由秀著「月」より引用(p130

<実際上の問題>

三体問題が解けないということは、数学的には厳密に解けないということで、角度の三等分(任意の角度の三等分はコンパスと定規では三等分にできない)5次以上の方程式の解法と同様に不可能と言われている。しかし、実際問題として、角度の三等分は、我々は、かなり正確に角度を三等分することができる。三体問題も同じである。月でも惑星でも、その軌道は、大体において楕円であることがわかっているのです。その楕円からのハズレを、観測にかかる精度内で、何百年間かに渡って計算できれば良いのである。惑星の場合は、楕円からのハズレも非常にわずかで、例えば、木星の公転周期は、12年であるから、何十周期かについて計算が合えば良い。ところが、月は同じ年月の間に何千公転かしてしまい、しかも楕円からのハズレも大きいという点が問題である。

という一文を読んで、私は、エキセントリックな月軌道に興味を持ち、どんな原因でそんなことになっているのだろうと、調べたくなったのだ。月の軌道は、宇宙の中で、一番正確に観測しやすい対象ですし、それが、説明できないなら、その理論は、全宇宙共通に、通用しないということになります。おそらく、月の軌道が一般的で、惑星の軌道が特殊なのかもしれない。そこで、無謀ではあるが、月の軌道を研究してみることにしました。

2018年夏

FIFAワールドカップロシア大会で日本がベルギーに負けた日

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